化石も人も歴史は深い!北海道由仁町日帰りの旅~特別編~

2016年9月2日(金)

北海道の帰省を兼ねて、札幌に近い夕張郡由仁町を訪れました。
由仁町は「温泉」や「ガーデン」、「アイス」、「農地の景色」が有名どころ。
深いところまで知ろうとしても、なかなか足を運ぶこともない場所でした。
由仁町に在住する方とご縁があり、
この場所を深く知る機会をいただくことができました。

今回はいつもの一人旅とは違い特別編ということで、
私の身内、由仁町の方々のご協力のもと、
案内いただいた中から、由仁町のほんの一部(ウラの由仁町)を紹介できればと思います。

由仁町の玄関口由仁駅

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札幌の実家より父に送ってもらい、午前11時過ぎに由仁町に到着しました。
ここに来る途中、秋の風物詩、赤とんぼの集団に遭遇したというのに、
この日の由仁町は夏のような天気!

お昼過ぎに由仁町在住の橋本さんと待ち合わせなので、
先に由仁駅周辺とゆめっく館、ヤリキレナイ川の撮影を行うことに。
駅舎はきれいな外観です。

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ホームは自由に出入りできます。

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やはり本数は少ないですが、最終便は22時台と、意外と遅い時間の便が出ているようです。
新さっぽろから夕鉄バスも出ています。
本数は限られていますが、バスか電車と選択できるのは嬉しいです。

レンタサイクルはユニクル.さんがあります。
一人旅ちゃりだーには現地自転車は必須なので、有り難いです。
ゲストハウスもあります。レトロボーイコーヒーさん。
宿泊ができると、ゆっくりと過ごすことができますね。
札幌からも近いので、小旅行にぴったりな町です。

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由仁タウンマップ。

マップではコンパクトにみえますが、北海道の距離感を忘れてはいけません。距離はあります。広いです。

由仁町の総合資料センターゆめっく館

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マンモスとオオツノシカ実物レプリカがお出迎えです。
由仁町では平成2年にマンモスの臼歯とオオツノシカの角の化石が発見されました。
工事中に化石が発見され、出土された場所は地層もきれいに判別できたそうです。

来館当時、オオツノシカの化石は北海道博物館へ出張中でした。
借り出されるということは、貴重な化石が、
由仁町で発見されたことが分かるかと思います。

ゆめっく館は化石の資料室と図書室が併設されています。
施設の雰囲気が良かったので、
ここでゆっくり本を読みたい気分でした。

私が撮影中、父が係の方々と「ヤリキレナイ川」の標識場所を聞いていました。

父「ヤルセナイ川の標識が見えるところってはどこにあるの?」
私(川の名前間違っとる…。)

係りの方1「あ、ヤリキレナイ川ですね~。」

係りの方2「私たちもそんなに見ることないもんですから…確か○○の近くになかったかな~」

係りの方1「そうですね…○○の近くにあったかと思うんですけど~。」


非常にアバウトな会話です。
結局、川の標識場所を特定することができませんでした。

父が川の名前を間違えるという、初歩的な質問ミスをしたおかげで、
とても恥ずかしい思いをしました……。
その会話を聞かなかったことにして、撮影している振りをしてその場をしのぐことに。

古き良き時代を知る。古民家カフェるり庵

由仁駅の12時半に橋本さんと再会です。
東京でTsunaguProjectさんのふるさと納税イベントでお会いし、今回で2度目となります。

橋本さんは東京出身。由仁町在住2年。
由仁町の地域おこし協力隊を2年勤め、
今年7月にNPO法人ユニライズを設立されました。
法人を立ち上げたばかりのお忙しい時に、お時間をいただきました。

ランチ時ということで、ご飯を食べに行くことに。
「何系のごはんがいいですか?」と橋本さん。
私の「和食系」リクエストに、さらりと答えます。
「それじゃあ、るり庵にしましょう」

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古民家カフェ るり庵さんに到着。
実は事前リサーチで訪れてみたかったカフェでもあります。
時代を感じさせるレンガ造りの門と古い建物に心が躍ります。
※古民家カフェるり庵は2017年2月、建物の老朽化のため営業を中止され、
2017年5月現在、ユニガーデンにて土日祝日限定で「カフェるり庵」としてオープン中です。

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店内はどこか懐かしい感じの造りです。
お好きな席にどうぞということで、一番奥の間に座ることにしました。

るり庵さんの建物は、以前は呉服屋でした。
昔は由仁町に3件ほど呉服屋がありましたが、
時代とともに呉服屋の需要が減り、洋品店へと変わり、由仁町の人口も減少。
こちらの呉服屋も時代の波とともに店をたたむことに。
家主さんは売るか壊すかの2択で考えていたそうです。
ご縁があって建物は買い手が見つかり、取り壊しの危機を免れ、
2015年4月、古民家カフェとして復活することができました。

現在12~2月は休業。水、木が定休日です。
詳細な営業日はるり庵のHPでご確認ください。

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「日々是好日」いい感じの掛け軸。
後日調べると、茶席に掛けられる禅語のようです。
店内は古民家にふさわしい、和テイストの美術品が置かれています。
こちらのカフェスペースは呉服屋時代は客間として使われ、
呉服の展示会やお見合いの席も設けられていたそうです。

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落ち着く縁側があります。
ご自由にお昼寝どうぞと言われていたら、
遠慮なく寝ていたかと思います。

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JANOMEの足踏みミシンは店長の松村さんのお母様の形見です。
実は使い方がわからないので、使える方に教わりたいそうです。
※ちなみに足踏みミシンは直線縫いのみです。

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るり庵のイメージキャラクターである猫の置物。
実は、お店のためにキャラクターを作ったわけではなく、
こちらの置物をいただき、お店にふさわしい猫ということで、
そのままお店のイメージ猫となりました。

それでは、
お腹もすいてきたので、早速ご飯を注文します。

せっかく由仁町に来たからには、ここでしか食べることのできないご飯をいただきたいものです。

橋本さんのおすすめは
「原木椎茸たっぷりの餃子スープ」。
店長の松村さんより原木椎茸の説明をお聞きしました。
由仁町エリア周辺の家々では、原木椎茸が自然に育っており、
それを由仁町の特産品としましょうということで、
本格的に製品化となったのは最近のことだそうです。

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1日限定5食。雑穀ご飯と小鉢が付いており、餃子の皮も手作りです。
「ごめんなさい、今日ね、ちょっと辛めの味付けになるのだけど、
辛いの大丈夫でしょうか?」と松村さん。
どうやら少々辛味の量が多かったようです。
おちゃめなキャラの松村さん。
初対面とは思えないほど、すぐに馴染んでしまいます。

どのくらいの辛さの味付けかと思いきや、
ちょうど良い辛さの味付けでした。
椎茸の味も美味しく、小鉢のおかずも美味しかったです。
美味しくいただき、完食しました。

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笑顔で見送る松村さん。
楽しい旅の思い出話もお話ししていただきました。
もっとお話を聞かせていただきたかったです。

右奥には石蔵が建っていますが、
現在こちらの石蔵をどう有効活用するか模索中とのこと。
今後、るり庵さんがどんな風に変わってゆくのか楽しみです。
また訪れてみたいと思います。

今やメジャーとなったあの川

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橋本さんに、「ヤリキレナイ川」の標識を案内していただきました。
せっかくなので、ネットでよく見る白い看板ではなく、
かわいらしい木の看板がある場所へ行ってみることに。
さすがに由仁町ど素人の私と父はここまでたどり着くはずもありません。

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川の上流付近のためか、水は澄んでいる小川でした。
こちらの看板近くでは春ごろに桜がみれるそうです。

目の前の事を一生懸命に。同志たちとともに由仁町のために

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伏見台展望台からは由仁町が一望できます。

「伏見」と聞くと京都を連想しませんか?
由仁町に限らず北海道各地の地名には入植者の出身地にちなんだ名前が残っています。
ちなみに、由仁町には「山形」「三川(愛知県三河)」という地名もあります。

季節によって農地の色が変化するので、その違いを見るもの面白いそうです。
一人でここに来ることもあると橋本さん。
由仁町で暮らしてゆく中で、様々な出来事を想い、ここの景色を眺めているそう。
ここもいいけど、もっと眺めの良い場所があるということで、
そちらも案内していただくことに。

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「ちょっと、トウモロコシの主張が強いみたいですね……」
手前のトウモロコシが成長していて、
眼下に広がる農地が隠れてしまっていますが、
橋本さんおすすめの古山(ふるさん)からみた由仁町の風景です。
遮るものがなく、画になる風景。
住んでいる人にしかわからない素敵な場所です。

この場所で、同志の方々と語り合うこともあるのだそう。
橋本さんにとって、由仁町は人数や規模感がちょうど良く、
音頭を取りやすい場所。
ワークショップを開いたり、創業塾を行ったり、
イベントを開催するときには、必ず顔を出してくれる地域の人たちもいる。

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「幕末時代の志士が好きで、
由仁町での今の生き方は、幕末を生きた志士たちのイメージと重なる」
と橋本さんは言います。
新しい事をしようとする人たち、今までの事を守ろうとする人たち。
由仁町も古い歴史を持つ町。当然外部の意見や新しい意見を拒む人たちもいることでしょう。

最初に古民家カフェるり庵で見た、
「日々是好日」の掛け軸。
現在のお話しをるり庵で伺っていたときのことを思い出し、
まさにこの言葉が橋本さんに当てはまっていると感じました。
由仁町での日々起こる出来事に、一生懸命やってみる。
協力隊の活動を2年で積み重ねてきた過程の中では、
良いことばかりの日々ではなかったと思います。

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会話の中で度々登場する「同志」という言葉。
縁もゆかりもないこの場所で、
橋本さんの熱意ある行動でできた「同志」と言える人たちの存在は、
彼の活動をきちんと見ていた人たちがいたからこそ。
「同志」の人たちもそれぞれに由仁町の想いがあり、
この場所でやってみようと、新たな志を秘めている。

NPO法人を立ち上げ、本格的に活動をし、
移住促進に関連する来客の対応や就労に関する相談、
由仁町のイベント準備など、
協力隊の時よりも休む暇もなく動き回っているそう。
案内中も電話対応をする場面も度々ありました。
北海道新聞で取材を受けて掲載され、
これから益々色々な方面から注目される存在となりそうです。

今回は日帰りでしたが、
次回は宿泊込みの一人旅をして、
2回目の由仁町旅ブログを書きたいと思います。

町を案内いただいた橋本さん、
るり庵店長松村さん、由仁町役場の青山さん。
当日はありがとうございました。

このブログを読んだ方が、
由仁町に行ってみたいと思っていただけると幸いです。

◆最後に。◆
由仁町を語るうえで、一番重要な場所に橋本さんは私を案内しました。
私が知らなかった由仁町の歴史。
三川駅周辺に由仁町の最初の入植者、加藤平五郎氏の銅像があります。
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※銅像写真は周辺建物配慮のため、掲載はしないことにしました。
愛知県碧南市から19人の小作人を引き連れてやってきました。
看板を見ているだけでも、才能ある方のようで、
教育や郵便など、多岐にわたり役目を果たしています。
身を粉にして働いたと書かれていますが、
本当に自分の時間など全くなかったことでしょう。
北海道を旅をする時に、最初の入植者はどんな人だったのか、
時折疑問に思うところがあります。
全く予測もしなかったウラの由仁町案内でしたが、
最初の歴史を知ることができ、記憶に残る1日となりました。