50年に1度の大雨!記憶に残った利尻島一人旅

2016年9月5日(月)、6日(火)

この日は直前まで稚内周辺で写真ツアーに参加していました。
ツアー終了後、稚内空港から稚内フェリーターミナルへ移動。
天気予報が雨と分かっていても、利尻島への想いは強かったです。

この日にかける労力、費用、時間を考えると、そう簡単には諦めません。

私の一人旅史上、歴史に残る旅を故郷である北海道で経験したことは、
間違いなく「記憶に残る一人旅」となりました。

先にお伝えしますが、壮大な利尻山の写真はありません。
大雨の旅だったので、そこをご理解の上見ていただけると幸いです。

いざ利尻島へ!

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稚内フェリーターミナル2Fです。
さすがに有名な観光名所の入り口だけあって、広々としています。
最終便16:40稚内発、鴛泊行のフェリーに乗ります。

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▲ゆるきゃらがフィーバーする前から存在していたかと思われます。
しっかり観光化されたキャラクター達。

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▲フェリー到着!大きいです!

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▲館内が豪華な造りとなっています。
2等室も広々しています。

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船内に売店があったので、稚内牛乳アイスを購入。
稚内滞在中に「宗谷の塩」味を食べたのですが、ここでも食べます。
今回はメジャーな「バニラ」。濃厚で美味しかったです。

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▲見えてきました、利尻島(山)!大きい!
しかし、山が見えたのはこの日だけ…というのは言うまでもありません。

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▲18:20、鴛泊に到着です!

ここから今夜の宿、「利尻うみねこゲストハウス」へは徒歩で向かいます。
辺りも既に暗くなっており、誰一人歩いている人はいません。

そんな中、
「ピンポンパンポーン♪」
「先日島内で車の窃盗事件がありましたが、
 犯人が見つかりました・・・・」

島に来て、とてもショッキングな島内放送を聞いてしまい、
島でも窃盗事件なんてあるんだと思いながら、急に心細くなりました。
少々小走りで宿へ向かいます。

利尻うみねこゲストハウスに到着!

当日はオーナーさんが不在でしたので、宿の奥さんが対応しました。
どうやら、本日の宿泊客は私ともう一方のみとのこと。
お風呂はいつでもどうぞとのことなので、
ご飯後にもゆっくりと入れそうです。

夕食を食べに、
電動自転車を借りて居酒屋さんへ!

居酒屋 魚勝

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▲「魚勝」です。
※ちなみに、車の盗難事件があったのはこちらのお店だったそうです…。
※2017/06/16 再訪情報。「魚勝」は道路拡張工事により、閉店いたしました。。お店の看板がなくなっていました(泣)。

うみねこゲストハウスの奥さんより、3件お店を紹介していただいた中から、
少々島民向けで女性は入りにくいかも…というお店をあえてチョイスしました。

店内に入るとカウンターが男性客2名が座っており、
確かに女性は入りにくいかも!といった雰囲気です。
やはり選択ミスしたかなぁ…なんて思いました。
店内に入った直後、店主がおらず、奥さんらしき店員のかたから、
「ちょっと待っててくださいね」と。
参ったなぁ…結構お腹もすいてて、早くご飯にありつきたい気分でしたが、
ゆっくりすぎるほど、メニューを見ながら、明日の事など考えていました。

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▲魚勝のメニュー。

ようやく店主が帰ってきて、オーダーの準備が整いました。
私が食べたかったシシャモは外国産とのことで諦めることに。
「たちかま」はマダラの白子を練ったもの。
これまた絶品!
ウニはケタ違いな値段で諦めましたが、「たちかま」に出会えてよかったです!
これがお酒と一緒だったら良かったのになぁ…。
※自転車で来たので、お酒はなしでした。

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▲漬物。

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▲たこのから揚げ。たこがふわっふわでした。

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▲カンカイ一夜干し。
魚料理としては初めて食べました。
道内のスーパーで普通に売られている珍味「コマイ」と同等の魚です。
珍味の「コマイ」はカッチカチに硬く、食べるのには一苦労するのですが、
一夜干しは皮まで柔らかくて、とても美味しかったです。


▲たちかまバター焼き。これ絶品!お土産で欲しいくらいです。

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▲魚勝店内。一夜干しの魚たちがカウンター前を埋めます。

私にしては小食のご飯でしたが、美味しく完食しました!
ちょっと小腹が好きそうなので、
近くのコンビニ、「セイコーマート」で夜食を購入です。
久しぶりに「カツゲン」を購入しました。
やっぱり北海道に来たからには「カツゲン」でしょう!

そして、宿へ戻る時の下り坂、魚勝へ行く途中に猫に会ったのですが、
確かこの辺に猫いたなぁとブレーキかけながら速度を落として走行していると…
猫が横から飛び出してきました!!
非常に危なかったです…
島に来て猫をひくところでした。

まさかのご縁!利尻島に惹かれる人々

お風呂を済ませ、「カツゲン」と夜食用のパンとともに、談話室でくつろぎタイムです。

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▲写真は翌日の朝のものです。天気が良ければここから利尻富士が見えます。

宿の奥さんと談話室で利尻島のこと、ゲストハウスのお話しを色々と伺いました。
以前はバスガイドをされており、
利尻島にも何度か訪れたことがあったそうです。

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▲談話室の一角。楽器たちが飾られていました。

石垣島も好きとのこと。
ですが、利尻島に住み、夏の利尻島も良いけど、
冬の利尻島も風情があって良いと、奥さん。

利尻島はかつて1万人ほど島民がいたそうですが、
島民の高齢化、本土への移動などが進み、
今は人口2600人ほど(2016.8時点)。
私は今回の旅で、
利尻島がどのくらいの大きさなのか、
住民はどんな方々が暮らしているのかまで知ることはできませんでした。
私が訪れた数少ない島の中では、そこそこ規模が大きい島。
なんとなくですが、観光地的なノリがある気がしました。

昔から観光がメインの島だからかもしれません。
観光客があっての島だと思います。
そこに、私が人情的なことを求める方が間違っているのかもしれません。

「ところで利尻に来る前はどこかに行っていたの?」と奥さんに聞かれ、
稚内周辺で、
写真家の工藤裕之さんの写真撮影ツアーに参加していたことをお話しすると、
「あら!
 昔グリーンヒルっていうユースホステルがあって、
 私、そこで工藤さんのポストカード買ったわ!
 きっと、その方ね~!」と。

後日、ご本人工藤さんに確認したところ、
15年位前に利尻島の各所でポストカードの販売をしていたそうです!
そして、グリーンヒルは工藤さんがかつてハマって通っていたユースホステル。
まさか、利尻島でこのようなご縁があるなんて!

「島旅はすごくお金がかかるけど、
旅人が最終的にたどり着くのは島旅なのよね。」
先ほどの写真家の工藤さんのお話しや、
昔グリーンヒルユースに宿泊したことを覚えているということは、
うみねこゲストハウスの奥さんは、
利尻島のことを深く想っている方だと私は感じました。

私はここ1年ほど、一人旅を積極的にしていますが、
そこの土地の出身者ではない方の方が、思い入れは強いと感じます。
一人旅の拠り所のゲストハウスはとても重要だと思います。
現地の方とゆっくりとお話しする機会はとても貴重で、
大変良い時間を過ごすことができました。

大雨でも途中まで決行!定期観光バスツアー

翌朝。
うみねこゲストハウスからは利尻山は見ることはできず、
すでに大雨で、視界も悪くなっていました。
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▲鴛泊フェリーターミナル。山の形がかろうじて見えるくらいの視界。

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▲フェリーは問題なく運航している模様。

前日に鴛泊発の観光バスツアーの予約をしていたので、
大雨の中、8:40に宿の奥さんに車で送っていただきました。
しっかりと握手を交わして、また再会できることを願ってお別れすることに。

※ですが、再会はこの後すぐにやってくるとは、
この時点では思ってもいませんでした…。

9:10。利尻観光バスツアー出発です!

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▲かつてヒメマスの養殖をしていた「姫沼」。
島で川魚を食べる風習が定着せず、すぐに養殖業は廃れてしまいます。


▲姫沼の周囲は木道が設置されています。


▲ウミウの幼鳥?鳥がいました。

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▲「オタトマリ沼」。


▲オタトマリ沼では売店が数件あります。

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▲「クマザサ」のソフトクリーム。笹風味でした。意外と美味しい!
でも、なぜ利尻島でクマザサ?結局謎のままでした。


▲「利尻昆布ラーメン」。
オタトマリ沼の売店では1個¥320でしたが、
鴛泊フェリーターミナルでは¥330、稚内フェリーターミナルでは¥800!
売り場によって、値段が変わっているようです。


▲後日食した「利尻昆布ラーメン」。インスタント麺の中で、一番美味しい!
値段は高いですが、食べてみる価値ありです。

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▲味付海苔ならぬ「味付昆布」。病みつきになる味です。
おにぎりにすると良さげです。

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▲作家吉村昭とラナルド・マクドナルドの記念碑。
マクドナルドは日本で最初の英会話教師です。
1848年、ハワイからの捕鯨船から遭難者を装い小舟で利尻島へ漂着。
しかし、時代は日本は鎖国時代。直ぐに捕まり長崎へ護送されます。
その後座敷牢で半年間監禁生活に……。
吉村昭氏は「海の祭礼」という歴史小説中にマクドナルドを描いています。
北海道苫前の熊襲撃事件を描いた「熊嵐」の作者でもあります。
記念碑がある真下付近で、マクドナルドは漂着したそうです。
この先行く利尻町立博物館で資料があるとのこと。
これはぜひ見てみたいものです。


▲仙法志御崎公園の記念碑


▲「コンブ」と「ワカメ」。
こちらの2頭のアザラシは稚内水族館からもらわれたそうです。
以前は迷子アザラシを保護する形で、地元の漁師さんが飼っていました。
現在こちらの2頭は、水族館からの指導の下、1日のご飯の量、種類も管理されています。

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▲何やら重苦しい雰囲気です…。


▲利尻町立博物館に到着。
しかし、この先土砂崩れのため、通行止めとなってしまいました…。
悲しすぎです。
ここでツアーが中止になるなんて…思いもよりませんでした。


▲バス乗車記念のとろろ昆布

バスは鴛泊フェリーターミナルへ引き返し、ツアーは途中で中止となりました。
利尻空港からの飛行機は濃霧のため全て欠航となり、当日の予定が全て変更に。

フェリーターミナルで待機中に、私の名前を呼ぶ声が。
うみねこゲストハウスの奥さんが心配して様子を見に来てくれました。
とても心細い状況の中、
知り合いもほとんどいない島で声をかけていただけたことに、少しホッとしました。


ちょっと心が落ち着いたところで、お腹がすきました。
さとう食堂でとろろこんぶラーメンを注文です。

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▲今思えば「ホッケの定食」をチョイスすれば良かったと後悔…。

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▲こちらが「とろろこんぶラーメン」。
現地で食べる昆布ラーメン、とても美味しかったです!
だしが昆布なので、なぜがヘルシーに食べられます。


▲帰りの鴛泊フェリーターミナルから見たペシ岬。
あの時の寂しさだけは鮮明に思い出します。

結果、不完全燃焼の利尻島の旅。
ですが、雨のおかげで得たものは、心に残るものとなりました。
島を出る帰り際、札幌の実家へ電話をしたときに初めて知ったのですが、
利尻島は50年に1度の大雨とのこと。
歴史に残る旅であったことは、後にも先にももうないかと思います。

一方、本土稚内では…

稚内フェリーターミナルに到着後、
バスで札幌へ帰ることにしました。


▲道路は冠水し、川の水位も限界に達していました。


▲牧草ロールも水に浸かっています…

約6時間かけて稚内から札幌に移動しましたが、
札幌到着後は心身ともにへとへとになっていました。
この大雨は北海道で大きな被害となり、
現在でも農作物や海産物に影響が広がり、
復旧の見通しの立っていない道路もあります。
一人旅を通して、何かできないか。
少しでも力になれることはないか。
旅は楽しいことだけではない。
色々なことを見つめなおすきっかけにもなりました。

後日、うみねこゲストハウスさんの情報によると、
大きな被害を受けることなく、宿も皆さんも大丈夫とのこと。
また必ず利尻島に行くと心に決め、
その時は美しい利尻山が見られることを願っております。