天売猫の譲渡会 in 天売島

2016年7月2日、3日(土、日)

今年3月に天売島の旅をしましたが、
間を空けずにまた天売島(テウリトウ)へ行ってきました。

3月にスノーシューツアーのガイドをされていた、
天売島地域おこし協力隊の宇佐美さんより、
7月に天売島で島民向けに猫の譲渡会をするという事前情報を教えていただきました。

今回の一人旅は天売猫の譲渡会と観光が目的。
旅のお話は別途書きます。

「天売島の猫」については以前ブログにも書いてますのでご参照ください。

webの情報が少ないため、
実際に関係している方々から直接聞いた方が一番良いと考えました。
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私はライターでも動物の学者でもなく、ただの旅人ですが、
天売島という島を旅して色々なことを知る機会が増えました。
当たり前ですが動物の「命」をきちんと知って、
今まで天売島の猫のことを知らなかった人に、
一人でも知っていただきたく、猫の譲渡会に行く予定を立てました。
2日目に天売猫の飼い主さんや、獣医さんのお話を聞く予定でしたが、
残念ながら、当日は(も)天気が悪く、早めのフェリーで島を出ることに。
幸い、初日に関係者さんにお話を伺うことができ、
また同じ宿にも関係者さんが宿泊されましたので、
お聞きした内容をまとめた形でできる限りレポートします。

「野猫」と呼ばれる猫たち

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※写真のパネルは海鳥センターで撮影しました。
「ノネコ」の説明もわかりやすく紹介されています。

天売島の海鳥繁殖エリアで捕獲された猫は生きている環境が違うため、
人に馴れるまでの道のりも長いそうです。
彼らのことを「野猫」(ノネコ、ヤネコ)と言うそう。
捕獲当時は人を見るだけで威嚇したり、激しく警戒するようです。
海鳥繁殖エリアで捕獲された猫は目つきが鋭いのだそう。
馴化期間は預かりボランティアさんのお宅で飼われます。
里親に出しても大丈夫と判断した場合、里親会にデビューします。
※猫の個体差によって預かり期間は異なります。

捕獲時の状況は?

アライグマ用のオリを仕掛けて置きます。
オリ中にご飯となる食べ物でおびき寄せて捕獲。
オリの周辺には監視カメラを設置し、捕獲時の様子が分かるようにしています。
ご飯は目の前にあるものの、猫も様子がおかしいことを察して、
直ぐにオリの中へは入りません。捕獲作業は意外と難しいことがわかりました。

オリの中に入ってから、最大1日後には移動用のキャリーに入れて、
一時待機場所となる羽幌町の北海道海鳥センターへ連れていきます。
海鳥センターで、ある程度数がそろったら、
道内の獣医さんのところへ車で連れていきます。
検査後に適正と判断されれば去勢・避妊手術となります。

海鳥センターの猫の収容数に限りがあるため、
収容しきれない場合は、また天売島に戻す猫もいます。

東京で譲渡会はしないのですかと聞かれるそうですが、
猫に影響するストレスを考慮して北海道内での活動が限度とのこと。
もし道外で天売猫を飼ってみたいという場合は、
北海道に移住するしか選択肢はありません。
人が猫に合わせるということですね。

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譲渡会に来ていた猫たち

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当日来島していた里親募集中の猫たちは全部で5匹。
そのうち1匹はPR猫のため、4匹が里親募集中の猫となります。
来ていた猫たちは当日来たばかり。
お疲れの様子で、全員各自トイレの中で寝ていました。

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こちらはPR猫「テン」。
11才と高齢のため、現在歯周病治療をしています。
顔も触らせてくれてとても大人しい猫。

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こちらは「ケンケン」。
ケージの中のハエが気になって、
イライラした様子は人間らしい一面。滑稽で面白かったです。
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こちらは「かつお」。
3月に海鳥センターで見たのは「かつお」と「ケンケン」。
「かつお」の名前の由来は、
捕獲した時にかつお節が頭に乗っていたからだそうです。
どうすれば頭にかつおなんて乗っかるのでしょう……。
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こちらは「ダーウィン」。
関係者さんより、この猫は触っても大丈夫とのことで、
ケージの柵を開けて撫でさせていただきました。
とてもおとなしい猫です。
こちらの猫と、隣に並んでいた猫は、
現在関係者さんのお宅で半年ほど飼われているそうです。

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猫の耳を見てお気づきでしょうか。
地域猫の印である「さくらカット」のような耳の形をしていますが、
天売島で暮らしているからこそ、少々ガタガタとした形をしています。
冬は厳しい寒さを越さなくてはなりません。
過酷な環境の中、耳が凍傷となってしまい、このような形となるようです。

家族の一員となった天売猫たち

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2012年から本格的な活動を開始し、これまで300匹ほど猫を捕獲したそうです。
里親に貰われていった猫たちは総合計で何匹となっているのか、
質問し忘れてしまいました。
写真は現在天売猫の飼い主さんより。
コメントを見る限り、野性味はほとんどなさそうで、家猫と化しています。

実際に島を歩いてみました

翌日早朝5時半ごろから島の散歩を開始。
3月に来た時に餌付けされている猫を見たので、
野猫は住宅エリアにはいないけど、
おそらく野良猫はどこかにいるだろうと予測していました。
やはりいました!

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白猫に「美人だね~」と話しかけながらカメラを向けると、
小屋の下から黒猫が「ちょっと、私もみてよ」と言わんばかりの一鳴き。
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私の目の前を横切り、玄関前でごはん待ち。
「あのー、そろそろ、ごはんをいただけませんかね?」

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一目散に坂を下ってくる猫。私に気づき、警戒しながら横をスルー。
自分に忙しい猫もいる。

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ここにも出待ち猫。どうやら天売の猫の大半は短毛種のようです。

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何かいる!
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やはり猫でした。
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お寺をテリトリーとしているのでしょうか?

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仲がよろしいようで。
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足のお手入れも欠かせません。この猫は私の近くまで寄ってきてくれました。

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最後まで私に熱い視線を向けてくれた美人猫。
芸能業界に入りたそうだったので、
「素人で良ければプロフ写真撮りましょうか?」と心の中で思っていると、
気持ちが通じたのか、ベストポジションでポーズをとってくれました。
アジアンビューティーな猫でした。

朝の散歩で合計7匹の猫たちに遭遇しました。
おそらく、ごはんももらっているのでしょう。
人に馴れている猫がほとんどです。

海鳥の繁殖地となっている天売島。
ここは生き物と人が共存している島です。
海鳥保護のため、猫の捕獲活動を開始してからネズミが増え、
また別の害が発生しています。
どれかが増えすぎたりすると、どこかでバランスが崩れる状態です。
島の中では生態系と常に向き合って考える場面が、
旅をしている中で、いくつもあります。
都会では考えたこともないこと。
そして、天売猫のことも。
どれが良いことかどうかは、実際に動いてみてからではわからないことだと思います。

天売猫の譲渡会に少しの時間参加することができ、
貴重な機会をいただきました。

情報を教えていただきました、宇佐美さん、
タイムスケジュールを教えていただいた羽幌町役場の方、
天売猫譲渡会でお話を聞かせていただいた方々、
ご協力いただき、ありがとうございました。


One thought on “天売猫の譲渡会 in 天売島

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