2018年1月28日(日)
釧路の旅、最終日。
本日向かう先は、
釧路駅から路線バスで1時間の場所にある「鶴居村」です。
バス乗り場では、発車前からすでに乗車待ちの列ができていました。
列の一番後ろに並んだ私は、座れるかどうかドキドキしましたが、
なんとか普通に座れました。
8:55釧路駅発のバスは、15人ほどのアジア系外国人観光客でほぼ満席。
日本人は私を含めて5人くらいでした。
釧路市街地から離れると、
畑の風景に代わり、時折樹々の間から釧路湿原が見られます。
「鶴居村役場前」のバス停で下車し、徒歩15分。
※バス料金は下車時に現金で払います。
「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」に到着しました。
「タンチョウ」と共に生きる「ひと」
この場所で冬のタンチョウに餌を与えていた、伊藤良孝さん。
絶滅の危機を救った一人でもあります。
今では鶴居村の地域の人たちの活動によって、
タンチョウたちは保護されています。
ピントがボケてしまいましたが、シンメトリーなカップル。
注目していない素のタンチョウにフォーカスがあたってしまいました。
動物写真はなかなか難しいです。
羽を広げて威嚇をするタンチョウ。
「俺の嫁に近づくなよ!」という感じでしょうか。
威嚇されたタンチョウを見ていると、
なんだか私も切なくなりました。
※一応、相手方のメス(右)もチラ見しています。
引き伸ばしのため画像は荒いですが、
良い見本写真が撮れていました。
翼を広げると、全長2m40cmになります。
タンチョウ集団に便乗して、
黒ヅル(写真中央の灰色のツル)が紛れ込んでいたりします。
どこかで群れからはぐれたものと見られます。
敷地内を歩いていると、
「こんにちはー」と二人の女子が私に声をかけてきました。
「私たち、標茶高校のタンチョウガイドのボランティアをしていて、
もしよければお時間よろしいですか」と。
手作りのフリップでタンチョウのことをわかりやすく教えてくれました。
絵がお上手!
今更ですが、正式な名称は「タンチョウ(丹頂)」です。
アイヌ名が「サルルンカムイ」。
サルルンは湿原。カムイは神という意味です。
意外と知らなかったのですが、「スラリー」での事故があるのですね。
※スラリーは牛の糞尿肥料を貯めたタンクです。
タンチョウクイズもあり、
知らなかったことが学べて良いガイドを受けました。
ちなみにタンチョウが間違えて食べてしまうものは、
牧草以外です。
砂は消化できるので大丈夫だそうですが、
他の人工的なものはもちろん消化ができません。
牧草はそもそも食べないそうです。
今日がボランティアガイド初日だったそうで、
一生懸命タンチョウの解説をお話してくれました。
私の質問にも答えていただき、よく勉強されているなぁと感心いたしました。
彼女たちが、ボランティアガイドを行なってくれました。
部員の皆さんはタンチョウに興味を持った生徒さん達で活動を行なっています。
自主的に学んでタンチョウのことを広める活動をされていて、
本当に頭が上がりません。
ガイドの最後に、
素敵なタンチョウのイラストが描かれたポストカードをいただきました。
高校生達によるボランティア活動に出会い、
そういえば、私も高校の時に自然動物に興味を持っていたなぁと思い出しました。
このような地元でのボランティア活動が「ひと」と交流することによって、
数年後彼らの何かのつながりになってくれることを願っています。
タンチョウサンクチュアリの向かいにある、
日本野鳥の会が運営するネイチャーセンターに立ち寄りました。
館内はタンチョウ観測ができるスコープが設置されており、
来館者は自由に見ることができます。
センタースタッフさんにタンチョウのことを聞くことができます。
先ほど見た黒ヅルのこともお答えいただいたり、
野鳥好きには楽しいセンターです。
一時、タンチョウは乱獲による減少もありました。
釧路周辺で生息するタンチョウは、生きるための環境が整っています。
餌が少ない冬でも生きていられるのは、
給餌場があり、
寝床である凍らない川があること。
冷たい雪の中で寝るよりも、
川の中に足を入れていた方が体温が奪われないのだそう。
天井に吊るされているタンチョウオブジェは、凧です。
現在は行われていませんが、
過去に等身大のタンチョウ凧の凧揚げイベントがあったそうです。
ご覧のように、とても緻密に作られた凧。
現存しているのはここだけだそうで、
作れる方もいないのだそう。
貴重な物を見ることができました。
センタースタッフさんは高校生ボランティアガイドさんたちとも関係があり、
今日が彼らの活動初日ということもあって、
こちらのセンターからも様子を見ていらっしゃいました。
タンチョウを撮りたい人たちばかりで、なかなかお声がけのタイミングがつかめないのだそう。
鶴居村は世界でも珍しい、雪とタンチョウの景色が見れる撮影スポットです。
そのため、日本人のみならず、世界中から愛好家達がその光景を撮影しに来ます。
カメラマン達のお気持ちはわかりますが、
ここの場所はそもそもタンチョウの餌場であり、
撮影のために作られた場所ではありません。
初めて行く方は、
ここがどういう経緯で作られた給餌場であるのか、
訪れた時に案内板を読んでいただきたいです。
そして、もしボランティアガイドさんの活動に出会うことがありましたら、
ぜひ彼らの活動に対して耳を傾けていただきたいです。
写真のように寄贈で活動が支えられているということを初めて知りました。
冬限定とは言え、餌代の費用はかかります。
以前、鶴居村でガイドさんのお話をうかがった時、
餌となるデントコーンは一部国の補助が出ているとお聞きしました。
国からの補助であれば、十分に環境が整っているのでは?と思うのですが、
タンチョウ数の増減によって、
補助の手当の金額も変動するのではないかというお話もお聞きしました。
鶴が居る村「鶴居村」。
ひとが住む前は、「タンチョウ」が住んでいたことでしょう。
「ひと」はタンチョウを守り、「タンチョウ」は「湿原の神」として、
これからもこの場所で生き続けて欲しいと思います。