利尻島リベンジの旅〜早朝の島1周サイクリング〜

2017年06月16日〜2017年06月18日

2017年06月18日(日)

利尻島の旅最終日。島1周ができるのは今日しかありません。
早朝4:30には出発できるように、4:15に起きました。

玄関にはすでに前向きに自転車がスタンバイされています。
※うみねこゲストハウスのトールさん、ありがとうございます♪

前日に引き続き、朝から天気が良く、清々しいスタート!
さて、どんなサイクリングが待ち受けているか、波乱に満ちたレポートをお送りします。

期間限定!朝にしか見られない、利尻島の風景


鴛泊港から島を時計回りに、自転車を走らせること10分。
運よく昆布干しの風景に出会いました。
朝日で昆布がキラキラしています!
利尻島の昆布干しはその年の天候によりますが、
6月中旬から8月上旬くらいまでの限定作業。

年々昆布干しをする人の高齢化が進み、後継者が少ないという事情があります。
重たい昆布を中腰の姿勢で地面に敷き詰める作業は、とても大変です。

毎年時期が来ると、利尻町役場でアルバイト募集の掲示をしていますので、
昆布干しに興味がある方は、webでチェックしてみてはいかがでしょうか?

高級食材で料亭でも使われる利尻昆布。
美味しい出汁が取れる理由は、利尻山からの海底湧き水であると言われています。
その昆布漁をされている漁師さんや昆布干しをされる方々のおかげで、
世の中に利尻昆布が流通していると思うと、
廃れてはいけない産業ですし、この先も「利尻昆布」が続いて欲しいなと思います。

ある人物を思いながら海を眺める。野塚展望台


作家 吉村昭さんの「海の祭礼」。
私がこの本を知るきっかけは、前の年に参加した利尻島のバスツアーです。
1848年、海を漂流していたアメリカ人の青年が利尻島に来たと。
(正確には漂流を装っていたことがこの本からわかるのですが。)
彼の名は、ラナルド・マクドナルド。
「海の祭礼」にマクドナルドのことが詳しく書かれていますということで、
今回の旅行直前に購入し、利尻島に上陸し長崎に送られるあたりまでは読みました。
※文庫本サイズで大変厚い本です。


野塚展望台の場所で、漂流を装ったマクドナルドが発見されます。


説明の看板。「海の祭礼」の一部が書かれてます。
稀有な冒険家だと思っていたのですが、
本にはマクドナルドの生い立ちや、
日本に憧れを持つようになった理由、
なぜ日本海側から入国したのか、
ドキュメンタリーのような内容で、淡々と描かれています。


当時マクドナルドはどんな様子で島にやって来たのだろう。
想像を膨らませながら海をしばらく眺めました。

彼は日本で最初に英語を教えたとされていますが、
日本ではあまり知られていないと思います。
前日にポン山でご一緒した、元小学校教諭の小玉さんとも話をしたのですが、
「日本にとって都合の良くない出来事は学校では教えないから」と。
確かに密入国で日本に上陸し、
牢獄中に当時の通訳士(のちにペリー来航時に通訳を努めます)たちに英語を教えたわけですから、
日本からすると、非公式の出来事かもしれません。


5:00前の海の様子。ウニ漁がされていました。
マクドナルドが利尻島に到着した時期は6月ごろ。
私が旅をした時期と同じくらいです。


自然を楽しむどころか日本に上陸しても、
捕らわれの身で自由に歩いて見ることもできなかった。
日本への想いがあるにも関わらず、
母国へ送還されても再び日本へ行くことはできませんでした。
日本の歴史に大きく関わっていた利尻島。
一人の人物を知り、日本史に興味を持つきっかけにもなりそうです。

全ては天気のせい?雨は突然やって来た

天候の事情のため、ここから先はダイジェストでお送りします。


第一島猫発見!
どうやら窓の方をずっと見ていました。
写真を良く見ると猫らしき姿が写っています。

猫を発見したあたりから、雨雲が広がり小雨のサイクリングとなりました。
カメラが濡れては困ると思い、急いで自転車を走らせます。
さらに途中から、走行中の風を切る音がとても不快になってきたので、
タオルほっかむりで対応することに。
格好は恥ずかしいですが、雨風対策です。


ここからは、ほぼiPhoneで撮影です。
オタトマリ沼周辺の様子。
うみねこ集団が沼にいました。
天気のせいもあるかもしれませんが、
沼から何か出て来そうで、非常に怖かったです(笑)
この光景を見たあたりから、事あるごとにビクビクすることに……。
オタトマリ沼に行こうとしましたが、やめました。怖いので(笑)。


南浜湿原に到着です。
天気が良い日は利尻山が綺麗に見える場所です。


なんだか、ここも何かが出て来そうな感じです。
怖い気持ちを振り払って、手前の木道を1周することにしました。
そういう時に限って、何かあるのですよね……。
ちょうどこの写真の左脇から、突然黒い物体が出てきました。
あまりにもタイミングが良すぎたので、本当に腰を抜かす所でした。
私が呆然としている間、黒い物体はバタバタと羽を羽ばたかせて遠くの方へ。
どうやらお休み中の水鳥だったようです。
朝早くに悪いことをしてしまったなぁ…と申し訳なくなりました。


雨でエゾイソツツジもワタスゲ寂しげ。
やはり群生でみたかったです。

南浜湿原を後にしばらく進むと、
前方の海寄りの空き地に、またうみねこ集団が見えてきました。

近くに寄ると怖いっ!
うみねこに襲われるのではないかと、恐る恐る自転車をとめます。


道路を挟んだ空き地側へ行ってみました。
奥の方にうみねこのコロニーがあるようです。

iPhoneには限界がありますので、一眼に切り替えました。
これは……すごい!白い点々がうみねこです!
利尻好きの友人より、
「ゴメのコロニーは鳥肌が立ちました」と事前情報をいただいていたのですが、
感動の鳥肌というより、恐怖の鳥肌でした(笑)!


全く人を恐れていない「うみねこ」たち。
旅の初日に、うみねこゲストハウスのかなこさんのお話で、
ゴメのコロニーによって、牧場が廃業に追い込まれたことがあったそうです。
動物の集団には人間は太刀打ち出来ないのだと、
この時の体験で感じることができました。


麓峰湧水に着きました。こちらも利尻の名水スポットです。
もちろん、今日は空きペットボトルを持ってきました。


補充に便利な蛇口タイプ。


麓峰湧水の向かいには、小さな厳島神社があります。
どうして不安定な場所に神社なんて……。
鳥居の前でやめておこうとしたのですが、
天気のせいにしている自分が嫌になって来たので、
ここは試練だと思って、
社殿の前まで行ってお参りしました。


「龍神の岩」。
通りかかった修行者の一言で、社殿がつくられたそうです。

この後、本泊方面に走り進み、
途中、消防署付近にはアニメキャラクターたちのオブジェがありました。
個人的に、このオブジェも怖かったです(笑)。
ここは強行突破したかったので、写真はなしです。
なぜか集団・大きい・オブジェは怖さを感じます。

その後はセーコーマート沓形店で小休憩。
小腹が空いたので、何かを買おうとしたのですが、
ちょうどこの日は利尻島の小学校で運動会があり、
品数が極端に少なく断念。


少しずつ晴れてきました。
ほっとします……。


太陽が眩しく、暑いくらいです。
ここも、神が祀られているようです。


9:30ごろ、うみねこゲストハウスに到着!
「おかえり〜、ずいぶん早かったね〜!」とトールさん。
おおよそ5時間のサイクリングでした。
後半は見所を全部飛ばしてしまったので、早いのは確かです。


鴛泊に到着した時も、周辺は霧に包まれていました。
利尻島は天気が変わりやすいので、
晴れが来たらその瞬間を見逃してはいけません。
今回は早朝ということもあり、道で人に会ったのは漁師さんのみ。
天気が悪くなるにつれ、一人サイクリングは心細いものとなりましたが、
良い思い出となりました。

写真は宿の談話室から。
マグカップのりっぷくんように、
次こそは日中サイクリングを実行したいです。

次回は利尻島の旅最終話です。

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うみねこゲストハウス:https://www.rishiriumineko.com/